寒冷前線の通過がわかる
1000hPaの中心を持つ低気圧が日本海を東に進み、西日本から東海、関東にかけて「春一番」をもたらした事例を挙げます。
2007年2月14日9時の高知県安芸市は1時間に54.5mmの非常に激しい雨となり、最大瞬間風速は30m/sを観測しました。
アメダスの風向・風速の水平シアーや気温変化をみると、14日14時すぎには下層の風向が南西風から西よりの風に変わり、気温が下がりました。
また、寒冷前線通過時の13時前後には12時10分~13時10分の1時間で54.5mmの非常に激しい雨を観測していることが読み取れます。
10分間雨量は12時30分~12時40分の10分間に17.0mmとなっています。これから、寒冷前線が13時から14時の間に安芸市を通過した事がわかりました。
このように、アメダスデータを使って、寒冷前線が安芸(高知県)を通過した日時を見つけ出すことができます。
梅雨前線に伴う強雨域がわかる
2006年7月18日から24日にかけて、梅雨前線が活発となり、九州の広い範囲で強い雨をもたらした例を挙げます。下の天気図は22日9時の天気図で、梅雨前線は中国大陸から日本付近を経てその東海上へ伸びています。
右の天気図で梅雨前線を検出するだけでは、降雨域の特定をすることは不十分です。そこで、局地的な天気図の分析が必要になります。
局地的な天気図の解析にはアメダスの観測が有効です。アメダスの地上気温の分布を見ると、黒い点線で示すA-A'とB-B'の二つの気温が急に変化している地帯があることがわかります。この二つの気温急傾斜帯に挟まれた領域は、相対的に低温で、気温傾度が小さくなっています。
このアメダスデータと、レーダー観測09時の右図を照らして見て下さい。このアメダスデータにレーダーエコー分布図を重ねて記入してみると、発達した雨雲はA-A’、B-B’の間に分布していることがわかります。すなわち、A-A’、B-B’間の相対的な低温は、梅雨前線による降雨活動の結果だということがわかります。
梅雨前線の解析においては、地上のデータをアメダスで詳しく調べ、レーダーエコー分布図で合わせて見ることで、局地的な天気図から詳しく梅雨前線による降雨域を知ることができます。
地形による前線の変形がわかる
局地的な天気図を見ると、実際には、地形の影響などによりじょう乱が変形していることが多くあります。
2007年3月30日の天気図をごらん下さい。総観規模スケールの解析では、06時~09時にかけて低気圧中心が山陰地方から宮城県沖に進んでいます。このため09時には関東甲信地方はすでに低気圧後面の寒気が入ってきて、気温が下がり北西風になることが予想されます。
しかし、アメダス時系列によると、諏訪(長野県)を例に挙げて風向の変化を見てみると、南西風から北西風に変わって強まったのは11時からです。
局地的に見た天気図(a)をごらん下さい。甲府地方に低気圧が解析できます。等温線(b)をみると、寒気の流れこみは、若狭湾から東海地方へ抜けるものと、東海地方へ抜けるものがありますが、甲府地方は両者の中間で、まだ暖気の中にあります。実際には、局地予報の観点で現象を詳しくみると、前線が変形していることがわかります。
これは寒気が中部山岳でブロックされているために起こっている現象です。
天気図で寒冷前線が通過しても、アメダスデータを利用して天気の変化を見ると、地形の影響で実際には寒冷前線が通過していない地域があることがわかります。
シアーラインがわかる
シアーラインとは風向や風速が急に変化している線を結んだ線で、総観規模の前線以外にもアメダスの観測から局地的なシアーラインを検出することができます。
下の図で線を引いたところがシアーラインです。シアーラインや収束域を検出することによって積乱雲の発生する地域、あるいは進行してきた積乱雲がさらに発達する地域をある程度特定することができます。